2020年6月23日に発行された米国血液学会誌(Blood advances誌)に、本学教員が解析した世界最初(1例目)の先天性分子異常症であるトロンボモジュリン長崎症例(Thrombomodulin (TM)-Nagasaki)」の論文が掲載されました(Okada, M., et al., A case of thrombomodulin mutation causing defective thrombin binding with absence of protein C and TAFI activation. Blood Adv 2020; 4 (12): 2631–2639. https://doi.org/10.1182/bloodadvances.2019001155)。
TM-Nagasaki分子(TM-G412D)はトロンビン結合部位にある412番目のグリシンがアスパラギン酸に置換されており、それにより結合部位の立体構造が変化したためにトロンビンが結合できず、その結果、正常なTM分子が示す抗血栓作用と抗線溶作用を発揮できないことを明らかにしました。患者は出生直後から重度の血栓症と出血症を繰り返し発症していましたが、この病態は遺伝子組換えTM製剤を投与することによって改善されました。変異TM分子の異常個所の立体構造を推定したCGモデル図は同雑誌の表紙を飾っています。
なお、この研究には、臨床工学科:秋田展幸准教授、医療栄養学科:西岡淳二教授、薬学科:鈴木宏冶教授が参画しました。
-研究担当副学長 鈴木宏冶-