本学教員による、胎児期脳発達における母体由来タウリンの役割に関する研究成果が、英国オックスフォード大学出版局のCerebral Cortex誌に掲載されました。

2021年06月08日

タウリン(taurine)は様々な生理活性を持つことが知られるβ-アミノ酸で、細胞容積の調節作用、抗酸化作用などを持つことが知られています。生物は一般に食物から摂取したタウリンとともに、システインやメチオニンなどの含硫アミノ酸を原料として肝細胞などで合成されたタウリンを用いています。しかし、ヒトをはじめとする哺乳類の胎児、新生児はタウリンを合成する能力が未発達なため、胎盤や母乳を通じて母体から授与されるタウリンを用いています。

今回、保健衛生学部放射線技術科学科の栃谷史郎准教授は、浜松医科大学神経生理学講座の福田敦夫教授、福井大学子どものこころの発達研究センターの松﨑秀夫教授らとともに、母体由来のタウリンが胎児期の脳の発達に関与することを明らかにしました。研究グループは、母体に由来するタウリンがGABAA受容体の結合調節因子として胎児(仔)脳の発達に重要な神経幹細胞の機能の制御に関与することを薬理学的?生理学的?遺伝子工学的手法を用いて証明しました。

この成果は、英国オックスフォード大学出版局の科学雑誌「Cerebral Cortex」オンライン版に、5月17日に公表されました。

掲載論文
Shiro Tochitani*, Tomonori Furukawa, Ryo Bando, Shigeaki Kondo, Takashi Ito, Yoshitaka Matsushima, Toshio Kojima, Hideo Matsuzaki, Atsuo Fukuda. GABAA Receptors and Maternally Derived Taurine Regulate the Temporal Specification of Progenitors of Excitatory Glutamatergic Neurons in the Mouse Developing Cortex. (2021) Cerebral Cortex.

https://academic.oup.com/cercor/advance-article-abstract/doi/10.1093/cercor/bhab106/6277948?redirectedFrom=fulltext

-副学長(大学院?研究担当)鈴木宏治-