COVID-19(新型コロナウイルス感染症)禍では、教育現場においてもコンピュータ技術に適応できないことやIT依存度が高まることによる不安である「テクノストレス」や個人と個人の間や組織と個人との間の「社会的関係性」の不足などに伴う様々な社会的心理的負担感やストレスが引き起こされることが指摘されています。
このたび薬学科の福田八寿絵教授らは、日本における教育関係者のCOVID-19に対する恐れやCOVID-19による心理的?社会経済的負荷と影響因子を解析し、教育者に対する支援のあり方について検討しました。
方法としては、日本の教育関係者1000名を対象としたアンケート調査により、COVID-19による心理的?社会経済的な不安や負担感と個人の属性、人々を結び付け支える仕組みや組織などの「社会関係資本(ソーシャルキャピタル)」、「首尾一貫的な感覚(SOC:Sense of Coherence)」などの諸因子について多変量回帰分析を行いました。
その結果、教育者が負担に感じる主な要因は、ソーシャルキャピタル、SOC、性別、年齢などであり、ソーシャルキャピタルが高い人ほどCOVID-19に対する恐怖心が高く、SOCが高い人ほど恐怖心が低いことが明らかになりました。また、感染予防の実施に伴う不安や負担感は、遠隔学習に伴う不安や負担感よりも高いという結果が得られました。こうした結果から、行政や支援諸機関が教育者の個々の特性に合わせた物的?財政的?心理的な側面からの多面的な教育支援を行うことが重要であることが示唆されました。
科研費による本研究の成果は、2022年2月14日付けのMDPI社の国際学術誌「International Journal of Environmental Research and Public Health」電子版に掲載されました。
Yasue Fukuda, Koji Fukuda (2022) “Educators’ Psychosocial Burdens Due to the COVID-19 Pandemic and Predictive Factors: A Cross-Sectional Survey of the Relationship with Sense of Coherence and Social Capital”
International Journal of Environmental Research and Public Health, 19(4):2134 Follow journal, DOI: 10.3390/ijerph19042134
-副学長(大学院?研究担当)鈴木宏治-