本学の奥村克純 特任教授が2022年度日本農芸化学会功績賞を受賞しました

2022年07月04日

この度、本学の奥村克純教授(学長付?特任教授)による「動物細胞ゲノムの構造?核内動態とその制御に関する分子細胞生物学的研究」に対して、2022年度日本農芸化学会功績賞が授与されました。https://www.jsbba.or.jp/about/awards/about_awards_achievement.html

日本農芸化学会(会員数 約1万人)は、世界で初めてビタミン(オリザニン(ビタミンB1))を発見した鈴木梅太郎博士が初代会長で、2024年に 創立100周年を迎える伝統ある学会であり、「農芸化学」は、生命?食糧?環境の3つのキーワードに代表される化学と生物に関連する事象について基礎から応用まで幅広く研究する学問分野です。「日本農芸化学会功績賞」は、農芸化学の発展に著しい功績のあった正会員に授与される学術賞であり、2022年度は奥村教授ら2名に授与されました。

奥村教授は、生命科学領域では”FISH (fluorescence in situ hybridization)法の奥村”として有名であり、遺伝子を顕微鏡下に可視化するFISH法を駆使し、国内外の多くの研究者との共同研究により、遺伝子?ゲノムの構造と機能に関する数多くの知見を示すとともに、FISH法をDNA複製研究に応用し、細胞核内のゲノムの動態や染色体の構築原理とその制御メカニズム、特に塩基配列に依存しないDNAメチル化などの「エピジェネティック制御」に関する多くの発見をしました。こうした生命現象の基本的原理を解明する基礎研究だけでなく、最近では、遺伝子?ゲノムの発現制御に及ぼす食材由来成分や環境要因等の影響などの応用研究を展開し、特に「食品機能とエピジェネティクスによる細胞制御?健康維持への応用」、「ゲノム設計?人工細胞の構築による未来の物質生産技術の開発」など、実用への礎(いしずえ)となる研究も高く評価されたものと思われます。

今回の受賞は、長年にわたる三重大学での研究成果が評価されたものですが、この経験を活かし、本学においても学内外の研究者との共同研究を進められ、医療や食品の分野において、さらなる成果を上げることが期待されます。
https://www.bio.mie-u.ac.jp/cate/awards/post-379.html

-副学長(大学院?研究担当)鈴木宏治-