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イノベーション?ジャパン

イノベーション?ジャパン2022 ~大学見本市&ビジネスマッチング~Online

10月4日(火)~31日(月)にオンラインで開催された「イノベーション?ジャパン2022~大学見本市&ビジネスマッチング~」に本学から薬学科の米田誠治教授が出展しました。この見本市は、JST(国立研究開発法人科学技術振興機構)が主催し、全国の大学等から創出された知財特許取得済みの434シーズを展示?発表し、企業とのビジネスマッチングを支援するものです。
今年も新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点からオンラインでの開催となりました。
以下、米田教授の出展における感想です。

1.「プラチナを用いた費用対効果に優れた制がん剤の開発」米田 誠治(薬学科?教授)

近年、がん化学療法の主流は抗体医薬品にシフトしつつありますが、その高額な製造費用は薬価に直接反映され、患者本人や世界各国地域の財政上の大きな負担となっています。プラチナ(白金)を原料とするがん治療薬(白金製剤)は、がん患者の腫瘍塊を縮小する能力が非常に高いことに加え、抗体医薬品よりも遥かに安価に提供できるという利点があります。今回は、次世代白金製剤として我々が分子設計した白金錯体が、従来の白金製剤を大きく上回る腫瘍縮小効果および効果持続性を発揮すること、また、これらが免疫賦活活性等の新たな作用機序でがんを死に至らしめている可能性が高いことなどを報告しました。興味を持っていただいた企業様と何度かzoom面談を重ねたお陰で、臨床応用に向けたいくつかの選択肢を知ることが出来ました。医薬品の開発は容易でないことは承知していますが、目標に向けて一層努力したいと思います。最後に、本研究を手伝って下さった学内外の共同研究者の皆様に、心よりお礼申し上げます。

イノベーション?ジャパン 2020

9月28日(月)~11月30日(月)に開催されたイノベーション?ジャパン2020~大学見本市Onlineに、本学から臨床工学科の三浦英和准教授および医用情報工学科の吉川大弘教授が出展しました。
イノベーション?ジャパン大学見本市は、JST(国立研究開発法人科学技術振興機構)が主催し、全国の大学等の技術シーズを一堂に展示して企業等へ紹介し、産学連携研究の発展、技術移転の推進を図る国内最大規模の産学連携マッチングイベントです。
17年目を迎えた今回のイベントでは、全国の大学等から応募し採択された405件の研究シーズが会場で展示される予定でしたが、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点からオンラインで開催されることになりました。以下に三浦、吉川各教員の研究シーズ(技術概要)と出展の成果をご紹介します。

1. 三浦 英和 准教授(医用工学部?臨床工学科)

【研究テーマ】交流電磁界で抗菌、抗ウィルス対策 – 新しい感染抑制法
【技術概要】抗菌剤や熱から身を守り、栄養を共有するため種々の細菌が集まり、バイオフィルムと呼ばれる薄いコロニーを形成します。医用機器では材料表面上に感染が起きますし、歯垢、台所や浴室のヌメリ、悪臭といった問題を引き起こします。大気解放された水循環系において環境常在菌によるバイオフィルムが特定周波数の交流電磁場への暴露により抑制されることが明らかになっていますが、体内に生息する特定の細菌によるバイオフィルム形成へ暴露交流電磁界の影響や周波数、強度等への詳しい応答は未解明です。培養皿を囲うようにコイルを形成し、共振周波数を細かく調整出来る交流電磁場暴露下細菌培養システムを試作し、実験を進めています。
【出展の成果】Web形式では空間的、時間的な利便性は高いものの、伝えきれないこと、感じ取れないことが多いことを改めて感じました。コロナ禍後は、より深い議論、情報交換のできる実展示が再評価され、発展していくことを願っています。Web、実世界のそれぞれの特性に合わせたハイブリッドの情報発信を行っていくことが重要であると強く感じました。

2. 吉川 大弘 教授(医用工学部?医用情報工学科)

【研究テーマ】脳波計測による認知症早期発見の試み
【技術概要】近年、認知症患者は年々増加しており、認知症対策が世界共通の課題となっています。認知症は症状が進行すると治療が困難となるため、早期発見が重要視されています。また、認知症のスクリーニング検査に、MMSE (Mini-Mental State Examination)があります。本研究では、日常的な脳波計測による認知症の早期発見を目指し、脳波特徴量を用いたMMSEスコアの推定モデルの開発を行っています。現在は、認知症患者を含む高齢者を対象に脳波計測実験を実施し、重回帰モデルの作成?検証に取り組んでいます。
【出展の成果】数社の企業と、数名の大学関係者から問い合わせや質問がありました。その中で特に一社は、現在、簡易脳波計の製作に取り組んでいるとのことであり、本研究がその有効な利用手段として適しているとして、極めて高い関心を持って本学に訪問に来られました。実際、本研究を実現するに当たっては、安価で装着が容易な簡易脳波計が必要不可欠ですが、本研究そのものでは、ハード面での開発は視野に入れていないため、将来的にこの会社との共同研究を行うことにより、高いレベルでの有機的な連携が期待できます。

イノベーション?ジャパン 2019

8月29日(木)~30日(金)に東京ビッグサイトで開催された「イノベーション?ジャパン2019~大学見本市&ビジネスマッチング~」 に本学から三浦英和准教授と米田誠治准教授が出展しました。

この見本市は、全国の大学等から創出された約400のシーズ(研究成果)を展示?発表し、企業とのビジネスマッチングを支援するものです。 三浦、米田両准教授から出展における感想を紹介します。

1.「交流電磁界で感染予防-新しいバイオフィルム抑制法」医用工学部 臨床工学科 准教授 三浦 英和

鈴鹿工業高等専門学校材料工学科の兼松秀行教授と共同で出展しました。『交流電磁界で感染予防 – 新しいバイオフィルム抑制法』のタイトルは敢えて「ええ?本当?」と来場者に疑問を持っていただけるタイトルを選びました。この研究は、本学と鈴鹿工業高等専門学校との医工連携研究会で私の電磁エネルギー伝送に関する研究を発表した時に、兼松先生よりバイオフィルムに使えないかという提案をいただいたことからスタートしました。今回、表皮ブドウ球菌に対して10 kHz、1 mTの電磁界を1週間暴露したところ、ガラス基板表面でバイオフィルム形成が抑制されることが示唆されました。会場では実験装置の他、実際に結果を得たサンプルを直接見ていただきました。学会発表では実物を見てもらうことはありませんが、この展示会では実験室の一部を切り取って運んできたような臨場感を伝えることが出来ました。
また、ブースでは来場者一人ひとりの興味内容に詳しく説明することも出来ました。
私自身が会場を回った印象としては、研究をアピールする熱気がひしひしと伝わってくること、実物の持つ情報量の多さ、そして研究をさらに進めたいという意欲が湧いてくることです。

2.「新奇なプラチナ錯体でがんは完全に治る?」薬学部 薬学科 准教授 米田 誠治

プラチナ(白金)を用いたがん治療薬(白金製剤)は、がん患者の腫瘍塊を縮小する能力が非常に高いことから、主に外科手術前の補助療法や一次化学療法に用いられています。よって、白金製剤による化学療法が奏功する/しないで患者の予後は大きく異なります。我々は、より優れた薬効を有する次世代白金製剤の創出を念頭に、従来の白金製剤の基本構造を敢えて大きく改変した「新奇なプラチナ(白金)錯体」を分子設計しました。ごく最近、共同研究者である本学薬学部の平本恵一先生にマウスを用いたin vivo実験を実施していただいたところ、我々の白金錯体が従来の白金製剤よりも遥かに高い腫瘍縮小効果および効果持続性を示すことが確認されました。この成果を本事業で発表したところ、大手製薬企業を始め多くの方々から高い評価をいただきました。また、「自身のビジネスとは無関係ですが、がんで苦しんでいる知り合いがいるので話を聞かせてください」と、我々のブースを訪ねてくださる方もいました。近年、がん化学療法における創薬研究の主流は抗体医薬にシフトしつつありますが、その高額な製造費用は薬価に直接反映され、患者本人や世界各国地域の財政上の大きな負担となっています。白金製剤の製造費用は抗体医薬品よりも遙かに安価で、より多くのがん患者に提供できるという利点があります。優れた治療効果に加え、がん患者本人や家族が経済的にも安心して治療と向き合える、次世代白金製剤の開発を急ぎたいと思います。

イノベーション?ジャパン 2018

2018年8月30日~31日に東京ビッグサイトで開催された「イノベーション?ジャパン2018~大学見本市&ビジネスマッチング~」に、放射線技術科学科から川野誠教授の研究成果が選ばれ、本学初の出展となりました。川野教授の研究成果は、「MR対応完全非磁性体の車いすの開発-真鍮製キャスターの検討-」という内容のシーズ展示で、国内157の大学等が400件にのぼる研究成果を11分野(本学は医療分野)に分かれて展示されたものです。

同教授は以前からMRIの吸着事故を防ぐ目的で「完全非磁性体車いす」の開発に取り組んでおり、家具メーカーとの共同開発で木材と樹脂のみの製品は完成していましたが、この製品の欠点である耐久性の問題を検討していたところ、キャスターメーカーから一番負荷のかかるキャスター部分に非磁性の「真鍮」を使ってはどうかとの提案を受け、共同研究を行い、この課題を学生の卒業研究として取り組んだ結果、耐久性の増した「完全非磁性体車いす」が完成しました。

会期中には多くの企業から訪問を受け、医療分野への参入を希望する企業のニーズを感じたと同教授。今後も企業との共同研究が更に充実するよう推進してまいります。