第18回薬学セミナーを開催しました

2023年05月26日

5月18日(木)の第18回薬学セミナーで、本学薬学科の坂晋准教授と山本篤司助教にご講演いただきました。

坂先生は、「環境化学物質による生殖発達の撹乱影響」というタイトルで、これまで行ってきた研究内容と本学で行った研究成果について発表していただきました。p-ジクロロベンゼンは防虫剤として使用されている化学物質ですが、その曝露が生殖発達に影響を及ぼしているとの疫学的研究の結果が報告されています。坂先生は、妊娠ラットにp-ジクロロベンゼンを曝露させると、出生した仔でその後に性周期異常が認められる事、ホルモン分泌に変化が認められる事、また、若年期の方が曝露の影響が大きい事など、p-ジクロロベンゼンの作用メカニズム解明につながる様々な研究成果を紹介してくださいました。

山本先生は、「細胞内の薬物動態における脂肪酸結合タンパク質の役割解明を目指して」というタイトルで、脂肪酸や疎水性薬物などと結合する性質を持つfatty acid-binding protein(FABP、脂肪酸結合タンパク)の機能に関する研究について講演していただきました。結合すると蛍光を発する特殊な化合物を利用して、FABPにどのような薬物が結合するのか、薬物との結合に重要な部分がどこなのかといった、薬物結合に焦点を当てた研究内容を紹介してくださいました。また、FABP遺伝子の発現を抑えることで薬物の代謝がどのように変化するのかといった機能面に関する研究内容も紹介してくださいました。こちらの結果は当初の予想と反したものであったものの、そのメカニズム解明に意欲を見せておられました。

今回の両先生のご講演は、近年注目されている性同一性障害やメタボリックシンドロームに関連したものであり、非常に興味深い内容でした。お二人の先生方にはこの場をお借りして御礼申し上げます。

講演要旨とスライドの一部を添付しておりますのでご参照いただければ幸いです。

-薬学部 薬学科 助教 廣森 洋平-

■薬学科 坂 晋 准教授
薬学セミナー要旨
スライド

■薬学科 山本篤司 助教
薬学セミナー要旨
スライド