医療科学研究科教員および大学院生によるアニサキス幼虫共存ウイルスに関する研究成果が、Elsevier社の国際学術雑誌Parasitology International誌に掲載されました

2023年12月11日

近年、我が国では海産鮮魚の生食によって起きる寄生虫のアニサキスによる食中毒が増加しており、公衆衛生や食品衛生上の大きな問題になっています。アニサキスはサバやアジなどに寄生していますがその生態には不明な点が多く、アニサキス症の発生動向を解析する上での障害となっています。一方、軟体動物、ダニ、昆虫などの無脊椎動物に感染したウイルスは宿主動物の生殖、成長、生態などに影響を与えることが知られていますが、無脊椎動物のアニサキスにどのようなウイルスが感染し、生態にどのような影響を与えているのか、その詳細は明らかではありませんでした。

本学大学院医療科学研究科の太田伸生教授は院生の杉本夏菜さんらとアニサキスに感染しているウイルスの探索とそれがアニサキスの生態に及ぼす影響を解析しました。その結果、日本近海に生息するアニサキス幼虫の約半数にSuzukana Rhabdo-like Virus(SkRV)という新種のラブドウイルスが感染していることが明らかになりました。アニサキスは回虫の近縁種であり、回虫類にはSkRVの近縁ウイルスが感染していることが知られているため、太田教授らはさらに、回虫類の遺伝子と感染ウイルスの遺伝子を比較解析しました。その結果、回虫類の種の分化と感染しているウイルスの種の分化が同調して進化してきた可能性があることが明らかになりました。

この研究成果は、感染ウイルスが宿主である回虫類の種の進化に影響を及ぼす可能性を初めて示した知見であり、アニサキスの生態解析に新しい方向性を示すとともに、アニサキス症の環境疫学に寄与するものと考えられます。
本研究成果は、以下の論文に掲載されています。

掲載論文
Sugimoto K, Kobayashi D, Ohshima S, Imai M, Ohta N. A novel rhabdovirus detected in Anisakis larvae distributed in the coastal areas of Japan: Viral genome analysis and possible coevolutionary relationship between virus and host nematodes. Parasitology International, 2023. https://doi.org/10.1016/j.parint.2023.102834

-副学長(大学院?研究担当)鈴木宏治-