第23回薬学セミナーを開催しました

2024年05月09日

4月18日(木)の第23回薬学セミナーでは、本学薬学科の出屋敷喜宏教授と垣東英史教授にご講演いただきました。

出屋敷先生は【医薬品代謝学研究室における研究について】というタイトルで、ステロイドを始めとする様々な薬物の代謝に関わる酵素であるジヒドロジオール脱水素酵素(DD)に関する研究について講演されました。研究はヒトおよびマウスのDDのcDNAから組み換えタンパクを作成して、基質となる薬物と反応させて代謝物を確認する形で行われました。当初は、代謝物を十分に検出できなかったのですが、別の化学触媒を共存させた反応と組み合わせることでDDの反応を効率化することに成功し、代謝物の検出が容易になりました。また、ヒトとマウスのDDでは、比較した基質の僅かな化学構造の違いからそれらに対する特異性に差が生じるという興味深い知見が得られました。これらの内容を出屋敷先生はデータを示しつつ、丁寧に説明してくださいました。

垣東先生は【「人を対象とする生命科学?医学系研究に関する倫理指針」改正対応の留意点―臨床研究に携わる先生方へ―】というタイトルで、治験を始めとする人を対象とする研究に関する倫理指針の改正を中心に、臨床研究を行うに当たって注意すべき点について講演されました。臨床研究では、研究の内容を患者に説明し、その内容を理解してもらった上で同意を得る、「インフォームドコンセント」が必要となります。改正後においても引き続きインフォームドコンセントは必須ですが、今回の改正では、研究によって得られたデータの扱い方に関して変更点がありました。臨床研究に関する情報を通知もしくは公開する(オプトアウト)際には一定の条件を満たす必要があるのですが、今回の改正でその条件が緩和されたことを、図表を用いて丁寧に説明してくださいました。
今回の両先生のご講演は、酵素反応および臨床研究に関するもので、薬学教育において非常に重要な内容でした。

講演要旨とスライドの一部を添付しておりますのでご参照いただければ幸いです

-薬学部 薬学科 助教 廣森 洋平-

■薬学科 出屋敷 喜宏 教授
薬学セミナー要旨
スライド

■薬学科 垣東 英史 教授
薬学セミナー要旨
スライト?