本学教員による三重県特産ヒトエグサ(アオサ)由来ラムナン硫酸の腸内細菌叢調節作用に関する研究成果がElsevier社のFood Bioscienceに掲載されました

2025年03月10日

ヒトエグサはアオサとも呼ばれ、三重県が全国一の生産量を誇る海藻で、味噌汁の具や海苔の佃煮として広く利用されています。我々はこれまでに、ヒトエグサ含有多糖類のラムナン硫酸(rhamnan sulfate: RS)には血管内皮細胞の抗炎症作用や抗血栓作用、動脈硬化抑制作用などの効能があることが明らかにしてきました。一方、腸内細菌叢は宿主の生理機能や病態形成に影響を与え、動脈硬化への関与も示唆されています。RSなどの多糖類は特定の腸内細菌に好んで代謝?利用されるため、放射線技術科学科の栃谷史郎教授らはRS摂取がマウスの腸内細菌叢に及ぼす影響を解析しました。

8日間のRS投与前後の腸内細菌の変化を比較したところ、RS投与により抗酸化?抗炎症作用を持つMucispirillum (M.) schaedleriが有意に増加し、Staphylococcus属が有意に減少していました。また、糞便中に短鎖脂肪酸の酢酸の濃度が有意に増加していました。ゲノム解析の結果、M. schaedleriは炭水化物代謝酵素を持たないことから、他の腸内細菌がRSを代謝して産生された酢酸がM. schaedleriが生息できる環境(ニッチ)の形成に関与したことが示唆されました。また、RS投与により、食中毒を引き起こす黄色ブドウ球菌が含まれるStaphylococcus属が減少したことから、RSには病原細菌抑制効果のあることが示唆されました。以上の結果から、ヒトエグサ由来RSは健康増進に有益な腸内細菌叢調節作用を持つことが明らかになりました。

本研究は本学と江南化工株式会社(三重県四日市市)との共同研究として実施され、研究には放射線技術科学科の栃谷史郎教授、薬学科の木曽原星都学生、中村研太学生、平本恵一准教授、鈴木宏冶教授および江南化工株式会社の寺澤匡博博士が参画し、研究成果はElsevier社のFood Bioscienceに掲載されました。

掲載論文
Shiro Tochitani, Hoshito Kisohara, Kenta Nakamura, Keiichi Hiramoto, Masahiro Terasawa, and Koji Suzuki. An edible seaweed-derived rhamnan sulfate modulates gut microbiota by promoting Mucispirillum schaedleri through bacterial interactions and enhancing anti-inflammatory and pathogen-protection mechanisms in mice. Food Bioscience (2025) 66: 106192. https://doi.org/10.1016/j.fbio.2025.106192

-副学長(大学院?研究担当)鈴木宏治-