人口の高齢化が進むなか、透析患者は年々増加しており、透析患者の約7割になんらかの認知機能障害を認め、透析中に認知機能が悪化する可能性のあることが報告されています。
こうした背景の下、本学?リハビリテーション学科?野口佑太助教らは、軽度認知障害(MCI)を認める透析患者に対して、透析中に認知機能に刺激を与えるN-back課題を3ヶ月間実施しました。その結果、患者の約8割に記憶機能や注意機能が向上することを認めました。
軽度認知障害がみられる透析患者に対して認知課題(N-back課題)を行うことにより記憶力や注意力が向上することを示した本研究成果は臨床上有意義であり、今後、透析患者の認知機能障害の改善と予防に資することが期待されます。
※ 軽度認知障害(MCI):認知症の前段階であり、認知症ではないが軽度の見当識障害や物忘れを認める状態のこと。
※ N-back課題:短期保持と処理の両方を必要とするワーキングメモリ課題であり、対象者は画面に表示された図形の数を記憶しながら、記憶しておいたN個前の図形の数を答えるもので、負荷因子Nによって課題の難易度を調節することができる。
掲載論文:
Noguchi Y., Ito M., Mushika M., et al. The effect of n-back training during hemodialysis on cognitive function in hemodialysis patients: a non-blind clinical trial. Renal Replacement Therapy. 2020; 6: 38. https://rdcu.be/b6oim)
-副学長(研究?大学院担当) 鈴木宏冶-