「第8回SUMS-NITS医工連携研究会」が開催されました

2020年09月29日

9月25日(金)17時から白子キャンパス6号館6103教室において、「第8回SUMS-NITS医工連携研究会」が開催されました。今回はコロナ禍の研究会であり、十分な換気、アルコール消毒、マスク着用、ソーシャルディスタンスを配慮した座席配置の下で行われました。

SUMS-NITS医工連携研究会は、鈴鹿医療科学大学(SUMS: Suzuka University of Medical Science)と鈴鹿工業高等専門学校(NITS: National Institute of Technology, Suzuka College)の研究者が連携して、医療に関わる新技術の研究開発や新事業の創出を図ることを目的として開催する研究会です。本研究会は2017年から開始され、2018年2月には「SUMSとNITSにおける学術研究交流に関する協定」が締結されています。

本学の豊田長康学長の挨拶に続き、NITSとSUMSから各1題の講演がありました。

講演1は、NITSの材料工学科 兼松秀行教授によるもので(演題名:Gear5.0プロジェクトと医工連携 -SUMS三浦准教授との共同研究の進捗状況と今後-)、文部科学省に採択されたGear 5.0 プロジェクトが紹介されました。その内容は、全国複数の高専の材料科学?材料工学研究室と企業が産学官協働研究室を構築し、学生の教育と研究、広域に及ぶ教員間の研究協力、学問の境界を越えた複合?融合領域での展開、産学官の壁を越えた連携と“共育”によって事業を遂行し、新しい製品開発と社会実装、人材育成を目指すというものです。実践例として、この医工連携研究会をきっかけに開始された、兼松教授と本学?三浦准教授(臨床工学科)の共同研究の成果と、JSTイノベーション?ジャパンへの出展事例が紹介されました。

講演2は、SUMSの医用工学部医用情報工学科 鶴岡信治教授によるもので(演題名:医療現場のニーズから始めた医工連携による画像診断支援システム -網膜OCT画像解析システムの開発研究-)、眼科用光干渉断層装置(OCT;Optical Coherence Tomography)の開発事例が紹介されました。鶴岡教授らの研究グループは、医師の作業時間と手間を短縮するために、網膜内階層の境界を世界最高の精度で自動輪郭を追跡する新しいアルゴリズムを作製し、網膜内階層の輪郭を追跡したデータを基に3D表示システムを開発し、現在、この輪郭追跡機能ソフトウェアがOCT製品に搭載されているとのことです。このソフトウェアの開発研究に携わった大学院生は現在、OCT開発企業で新製品の開発を行っており、産学連携による医工連携研究の重要性が紹介されました。

両講演とも研究成果をいかに社会実装するかに焦点を当てた有意義な内容であり、今後のSUMS-NITS医工連携研究の継続?発展が期待されます。

最後に今後取り組むべき活動について参加者による意見交換が行われ、今年4月に就任されたNITSの竹茂 求校長からご挨拶ならびに本研究会初参加を通しての感想を頂きました。講演内容の要旨については、こちらをご覧ください。

-副学長(大学院?研究担当)、社会連携研究センター長 鈴木宏治-