COVID-19(新型コロナウイルス感染症)に対する対策は、多くのグループ活動が必要な教育現場において喫緊の課題となっています。教育者の感染予防行動、安全危機管理対策は、教育環境におけるCOVID-19の感染拡大を防ぐための鍵となります。感染予防行動には、消毒ケア、手洗い、マスクの着用、ワクチン接種の推奨と実施とともに、教育者の知識、スキルの向上などがあり、予防行動の改善のために、教育環境の安全確保と持続可能で効果的な教育サービスの継続的提供を可能にする支援体制の整備が要請されます。
このたび薬学科の福田八寿絵教授らは、COVID-19禍における教育者への感染症の適切な情報提供や環境整備の在り方などを明らかにすることを目的として、COVID-19とワクチン接種の意識に関する教育者の知識と予防的行動、教育者の予防接種を受ける意欲と行動に及ぼす情報の信頼性などを調査し、多変量回帰分析を行い、考察しました。その結果、教育者が予防接種を受け、予防行動を取る意欲に与える要因として、回答した教育者の年齢、性別、健康リテラシー、政府や医療者、メディアからの情報の信頼性などが示唆されました。また、政府のCOVID-19に関する情報提供の信頼性は、地方自治体の広報の信頼性やかかりつけ医?薬局?マスメディアから発信される情報の信頼性よりも低いことが明らかになりました。
本研究の結果から、感染症に関する医療情報がどのように発信され、処理されているかを再検討し、その情報に対する信頼度を国民の間で高めることが感染拡大防止や予防行動の啓発にとって重要であることが示唆されました。また、本研究成果は、新規の感染症の発生早期だけではなく、その後においても、教育者の感染予防行動と持続可能な教育サービス提供のために、関係機関による適切な情報提供と個人の健康や医療に関する正しい情報の入手と、それを理解し、活用する能力である「健康リテラシー」の向上を図ることが重要であることを示唆しています。
科研費によるこの研究成果は、下記の国際学術誌に2021年10月に発表されました。
Yasue Fukuda, Shuji Ando, Koji Fukuda (2021) “Knowledge and preventive actions toward COVID-19, vaccination intent, and health literacy among educators in Japan: An online survey” (PLoS One, 2021, Sep.20, doi.org/10.1371/journal.pone.0257552)
-副学長(大学院?研究担当)鈴木宏治-