本学教員による、タウリンの役割と胎児?新生児の発達における母子間受け渡しの重要性に関する研究成果が、MDPI社のMetabolites誌に掲載されました。

2022年03月10日

タウリン(taurine)は全身の細胞において様々な生理活性を持つことが知られるβ-アミノ酸です。生物は一般に食物から摂取したタウリンとともに、システインやメチオニンなどの含硫アミノ酸(構造に硫黄原子を含むアミノ酸)を原料として肝臓などにおいて合成したタウリンを利用しています。しかし、ヒトをはじめとする哺乳類の胎児、新生児はタウリンを合成する能力が未発達なため、胎盤や母乳を通じて母体から授与されるタウリンを利用する必要があります。

この度、放射線技術科学科の栃谷史郎准教授は、母体に由来するタウリンがGABAA受容体の結合調節因子として胎児期の脳発達に関与することを示したこれまでの研究成果を中心に、胎児期や新生児期におけるタウリン欠乏による病態の形成、腸内細菌叢におけるタウリン代謝とその意義、母子間のタウリン受け渡しに影響を及ぼす環境要因など、これまでのタウリンの生理的意義とタウリン輸送の分子機構に関する知識を網羅的、体系的にまとめて解説した論文をMDPI社のMetabolites誌に総説として発表しました。

本論文で著者は、周産期の胎児の発達におけるタウリンの母子間受け渡しの重要性を提示しており、今後の研究の一層の発展が期待されます。

掲載論文
Shiro Tochitani*
Taurine: A Maternally Derived Nutrient Linking Mother and Offspring. (2022) Metabolites 12(3), 228.
https://www.mdpi.com/2218-1989/12/3/228

-副学長(大学院?研究担当)鈴木宏治-