5月19日(木)に第9回薬学セミナーが開催され、三輪高市 教授には「研究概略の紹介」、田中章太 助手には「ヒト大腸がん細胞株におけるオキサリプラチン抵抗性に関与するmicroRNA」という演題名で講演いただきました。
三輪先生からは、①精神科臨床薬学研究会における「精神科施設における全国処方調査」、②大学院研究における「精神科用薬の適正使用に関する研究」および③治療抵抗性統合失調症の治療に用いられるクロザピンのTDM研究について、これまでの研究活動と本学大学院で遂行されている研究を中心に、紹介していただきました。アカデミアとクリニカルを連携させたトランスレーショナルリサーチの前線についての興味深い講演でした。
田中先生は、オキサリプラチン(L-OHP)耐性を獲得したヒト大腸がん細胞株(L-OHP耐性細胞)において、特定のmicroRNA(miR-200cとmiR-141)の発現が低下していることを発見し、このことが、(がん細胞の転移能獲得の一因となる)上皮間葉転換(EMT)増加の原因であることを明らかにされました。また、DNAのメチル化を阻害するデシタビンをL-OHP耐性細胞に作用させた結果、miR-200cとmiR-141の発現増加が惹起され、EMTの抑制を介してL-OHP耐性細胞の転移が抑制されることも報告していただきました。一方で、リキッドバイオプシーによるL-OHPの耐性獲得診断を想定したエクソソーム解析を行った結果、miR-33a-5pの低下がL-OHP耐性獲得の指標となる可能性があることを明らかにされました。
両先生とも今後ますますのご活躍を祈念しております。
内容に関しては講演要旨やスライドを添付いたしますので、ご参照ください。
-薬学部 薬学科 助教 及川弘崇-
■薬学科 三輪高市 教授
セミナー資料
■薬学科 田中章太 助手
セミナー資料