本学教員による論文「白金(II)二核錯体のマウスに対する抗腫瘍活性は、フッ素原子の導入により変化する」が、アメリカ化学会発行の学術雑誌Inorganic Chemistryに掲載されました。

2022年09月12日

宝飾品や化学反応の触媒に用いられる白金は、がん治療薬(白金製剤)の原料としても用いられています。白金製剤はがん患者の化学療法で最初に用いられることが多く、白金製剤による化学療法が奏功する/しないで予後が大きく異なることが知られています。

本学薬学科の米田誠治教授らは、次世代白金製剤の開発研究を行っており、これまでに非常に高い抗腫瘍活性を有する医薬品候補化合物群の合成に成功しています。今回、米田教授らは、候補化合物の白金錯体にフッ素原子を導入した誘導体の物理化学的および生化学的性質を解析するとともに、大腸がん移植マウスを用いてその抗腫瘍活性を検討しました。その結果、フッ素原子を導入した白金製剤の抗腫瘍活性は、フッ素原子の数に応じて大きく変化することを世界で初めて明らかにしました。

本研究には、米田教授に加え、本学薬学科の植村雅子助教、平本恵一助教、大阪医科薬科大学薬学部の米山弘樹講師および春沢信哉教授が参画し、研究成果は無機化学分野の一流国際雑誌Inorganic Chemistry(アメリカ化学会、1962年創刊)に掲載されました。詳細は下記のリンクをご覧ください。

Introduction of Fluorine into Antitumor-Active Dinuclear Platinum(II) Complexes Leads to Modulation of In Vivo Antitumor Activity in Mice
Uemura M, Hiramoto K, Yoneyama H, Harusawa H, Komeda S*
https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acs.inorgchem.2c01126

-副学長(大学院?研究担当)鈴木宏治-