これからの私たちは、ともに支え合い、暮らしに安心感と生きがいを持ち、豊かな地域社会を創っていくことが求められています。そのような地域共生社会を実現する方法の一つとして、農業と福祉が連携していく“農福連携”が注目されています。本学では、農福連携の教育研究活動のため、2022年度に千代崎キャンパス内に「SUMS自然農園」を開設しました。
7月11日(火)、医療福祉学専攻 合田盛人准教授のゼミナールの学生7名が、実習施設でもある大学近隣の障害者福祉施設の利用者さん3名、職員さん2名をSUMS自然農園にお招きして、ともに農作業を行いました。昨年12月には、同施設から利用者さん3名、職員さん2名の方をお招きして、大根とジャガイモの収穫作業をしました。昨年に引き続き、今年も作業に参加してくれたのは利用者さん1名で、あとの利用者さん職員さんは、初めてキャンパスに来られたので、まずはSUMS自然農園のコンセプトから農園看板を使って説明しました。この日は、三重県内に熱中症警戒アラートが発表されていたので、屋外での作業は止めて、室内にて「大根の種取り」作業を総勢13名で行いました。
作業に参加してもらった利用者さん職員さんからは「和やかな雰囲気の中で作業できてよかった」「作業は難しかったけど、楽しかった」「大根の種植え作業があればぜひ参加したい」「(施設)外部の方と関わることが利用者さんにとってよい経験になるため、今後もぜひ共同作業をお願いしたい」という感想がありました。
ゼミ生からは「利用者さんは就労に向けてトレーニング中とのことだが、今回の作業に関して、とても上手な方がいたのを見て、適性の見極めと割り振り次第でかなりの能率をあげることができるのではないかと思いました。障がい者の就労に関する課題には、障がい者に対して、支援者としていかに適材適所な仕事を探せるか、あるいは開発の視点から、雇用を創出するかという点もあることを確認できました」という感想がありました。
今秋には、今回採種した大根の種を播く予定です。種を植え、収穫し、そして種を取る、この循環で私たちは食を得て生きてきました。この当たり前の循環が、今は失われつつあります。SUMS自然農園では、SDGsにも通じる取り組みとして、農薬や化学肥料を使わずに自然を尊重して野菜を栽培しており、種も自家採種して循環型社会についても考えていきます。
-保健衛生学部 医療福祉学科 准教授 合田盛人-