本学教員による、難治性川崎病に対するプレドニゾロンとサイクロスポリンAの併用療法が有効であることを示した研究成果がMinerva Pediatrics誌に掲載されました

2023年11月20日

川崎病は乳幼児に多い全身性に血管炎を起こす疾患で、冠動脈瘤を合併することが知られています。川崎病患者は免疫療法の一つである大量ガンマグロブリン療法(IVIG)により予後は大きく改善しましたが、難治症例に対する治療法は未だ確立されていません。川崎病難治例では、転写因子であるNuclear factor of activated T cell(NFAT)の核内移行が制御されず、炎症性サイトカインの過剰産生が起きていると報告されています。

免疫抑制作用を持つ副腎皮質ステロイド(CS)は、転写因子のNF-κB及びAP-1を抑制し、また、サイクロスポリンA(CsA)は免疫系T細胞の Ca2+/カルシニューリン/NFATシグナル伝達経路を抑制することで免疫抑制効果を示すことが知られています。したがって、CSとCsAの併用療法は転写因子のNFκB、AP-1、NFATを同時に抑制し、理論的に難治性川崎病に有効であると考えられます。

今回、本学救急救命学科の東川正宗教授は、日赤伊勢病院小児科?新生児科の医師らと難治性川崎病に対するCSとCsAの併用効果を実臨床で検証するため、川崎病患者354名の治療における各種薬剤の併用効果を解析しました。一次治療としてはIVIGが使用され、一次治療に抵抗性の77人の患者には、二次治療としてIVIG単独またはIVIGとCSの併用投与が行われました。二次治療に抵抗性であった患者5人に対して、三次治療としてCSとCsAの併用投与が行われ、全員が24時間以内に解熱し長期的な合併症もなく治療は有効と判定されました。以上の結果から、川崎病の治療抵抗例に対してはCSとCsAの併用療法が臨床的にも有効であることを示唆しています。本研究成果はEdizioni Minerva Medica社のMinerva Pediatrics誌に報告されました。

Higashigawa M, Nakamura T, Hattori T, Yoshino A, Ito M, Ichimi R. Combination of prednisolone and cyclosporine A as third-line therapy for refractory Kawasaki disease. Minerva Pediatr (Torino). 2023 Oct; 75(5):682-688. doi: 10.23736/S0026-4946.19.05567-1

-副学長(大学院?研究担当)鈴木 宏治-