慢性疼痛で学ぶチーム医療(実践)ワークショップが8月17日(水)~19日(金)に開催され、本学学生45名と三重大学医学部学生20名の計65名が参加しました。昨年度はZoomを駆使したリモート開催でしたが、今年度は3年ぶりに白子キャンパス1号館7階の新講義室にて対面形式で実施されました。
第1日目は、三重大学の堀浩樹医学部長が開講挨拶され、続いて本学の丸山一男教授(救急救命学科)より「痛みの考え方」、三重大学のジェーン?チャンダ?カブウェ博士より「アフリカの医療と慢性疼痛」のテーマで講義がなされました。その後、学生はグループに分かれ、専門の教員による鍼灸(写真1)、マインドフルネス(写真2)、筋ロコモ(写真3)の模擬実習を体験しました。次に、本学の河尻純平助教(看護学部)により「コンセンサスゲーム(月で遭難した時にどうするか)」として、グループでの意思決定の過程において発生する様々な問題を模擬体験するプログラムが実施されました。
第2日目は、本学の上條史絵助教(医療福祉学科:臨床心理学専攻)により「医療者のチームを体験しよう!(自職種の体験と他職種へのリスペクト)」をテーマにグループ活動(写真4)が行われた後、本学の菅原秀次准教授(医療福祉学科:医療福祉学専攻)による「痛みとともに生活する人への相談援助 ~ソーシャルワークの視点~」の講義、続いて本学の髙木久代副学長(鍼灸サイエンス学科)による食生活の重要性を認識するための「中医学と薬膳」に関する講義が行われました。さらに、本学の浅田啓嗣教授?伊藤和寛助教(リハビリテーション学科:理学療法学専攻)による「腰の痛みと慢性化 & 予防と改善のための行動」の講義と「腰痛予防?改善のためのストレッチ」の実習(写真5)が続きました。この日の終了後は、過去に参加した先輩達で運営されている「学生サポーターの会」のメンバー達との交流で盛り上がりました。
そしていよいよ第3日目は、慢性疼痛に苦しむ患者さんの病態や心理を把握し、有効な治療方針をチームで考えるために、本学の丸山一男教授(救急救命学科)と田中和奈教授(看護学部)が患者と家族に扮し、ロールプレイング(写真6)が始まりました。模擬患者に対して学生が医療従事者役として説明や受け答えを行い、さらに他の教員がサブファシリテーターを務め、様々な医療職のプロフェッショナルとして学生にアドバイスする機会が設けられ、具体的な問題解決の大きな助けとなりました。
このように、3日間を通してワークショップを行った結果、学生達の達成感や満足度は極めて高く、臨床での役割を実感する貴重なトレーニングの場となりました。閉講挨拶では、本学の豊田長康学長により「慢性疼痛教育の意義」が述べられ、あらためてプログラムを行う重要性を実感しました。教職員一同、学生が今回の体験をきっかけにして、今後も専門知識を吸収し続け、これからの医療に貢献していただきたいと願っています。ワークショップは年々、会を重ねる毎に講義?実習?運営方法が進歩しています。来年はさらに内容が充実し、学生さん達の熱気に満たされることでしょう。多くの後輩の皆さん達の参加を、心からお待ちしています!
-慢性疼痛教育委員会 ワークショップ担当責任者?医療栄養学科 教授 山口太美雄-