12月1日(木)に第15回薬学セミナーを開催しました。今回は、化学系薬学分野から田口博明 教授および藤田快男 助教のお二方にご講演していただきました。
田口先生には、「抗体酵素を用いた神経変性疾患治療薬開発を目指して」という演題で、これまでの研究経歴や、本学着任後の研究成果について発表していただきました。抗体酵素とは、生体内にも存在する酵素のような触媒作用をもりこんだ抗体分子であり、医薬品としての応用も期待されています。田口先生は、アルツハイマー病などの原因分子の1つであるアミロイドβペプチドを加水分解する抗体酵素の発見と、抗体酵素のスクリーニング法の開発、さらには抗体を抗体酵素化させる方法の発見など、様々な研究成果を紹介していただきました。
藤田先生には、「アジュバントアミノ酸創成研究」という演題で、発表していただきました。アジュバントはワクチンの効果を高めるため、様々なアジュバントツールの研究?開発が行われています。藤田先生は、イミダゾキノリン構造を有する化合物がToll様受容体(TLRs)を介して免疫賦活作用を有することに着目し、この構造を有するアミノ酸を開発されました。実際に、インフルエンザウイルスの抗原ペプチドに開発したアミノ酸を結合させ、マウスに免疫することで、ワクチンアジュバントとしての有用性が示されました。また、藤田先生はTLR活性評価や更なるアミノ酸ライブラリーの構築を行うなど、研究の発展に向けて鋭意努力されている様子でした。
お二方とも免疫療法への化学的なアプローチを研究対象とされていますが、それぞれ全く違った切り口からの研究であり、大変勉強になりました。両先生とも今後ますますのご活躍を祈念しております。
内容に関しては講演要旨やスライドを添付いたしますので、ご参照ください。
-薬学部 薬学科 助教 山本篤司-
■薬学科 藤田快男 助教
薬学セミナー要旨