本学の多職種連携教育の構成と配置
多職種連携教育の段階的積み上げ教育
1年次 慢性疼痛で学ぶチーム医療(基礎)
1年生選択科目
本学と三重大学医学部とを結ぶ遠隔合同授業
この科目は、本学と三重大学医学部が共同して計画実施している「痛みの医療に関わる医療者養成のためのプログラム」(文部科学省課題解決型高度医療人材育成事業:平成28年度~澳门皇冠足彩_澳门现金网-体育在线2年度(2016年度~2020年度))に基づいて設定された科目の基礎編で、慢性疼痛を事例としてチーム医療を学ぶ科目である。
高齢者をはじめ若年者に至るまで、慢性疼痛を訴える患者は非常に多い。授業ではまず、痛みとは何か、痛みの発生機構(メカニズム)など痛みの科学について学ぶ。痛みは身体的原因の出す警告信号でもあるが、身体の原因が除かれても慢性的に痛みが残るといった、身心両面に絡む症状である。従って慢性疼痛への対処には、様々な職種によるチーム医療が有効になるケースが多い。
授業では、三重大学医学部と本学の関連する職種の専門教員が交互に授業を担当し、双方の学生が受講する遠隔合同授業である。各専門分野と慢性疼痛への関わり方、対処の仕方を学ぶ。この科目での応用編として「慢性疼痛で学ぶチーム医療(実践)」(2年生科目)が設定されており、この(基礎)を履修した学生が履修することが推奨されている。
2年次 多職種連携の基礎
2年生必修科目
チーム医療や多職種連携のメンバーであるために必要なことは、チームを組む他職種に対する深い理解である。他職種をよく理解していて初めて、相互の協働作業である「チーム医療」を円滑に進めることができる。この科目では、医療関連の多くの職種についてそれぞれどのような内容を含みどのような仕事をし、各職種がチーム医療の中でどのような役割を担うかについて、自職種と他職種とのつながり関係を理解し、チーム医療の中で協働する必要性や意義について考える授業が行われる。各分野の学内専門教員がそれぞれの職種を担当して解説する。
この科目は、1年生の「医療人底力実践Ⅰ(学科プログラム)」(自職種理解)の上に位置し、さらに3年生開講の「事例で学ぶ多職種連携」、4年生開講の「実践で学ぶ多職種連携」で発展させる一連のチーム医療教育の基礎部分である。また同時に1-2年生で並行して行われる「慢性疼痛で学ぶチーム医療(基礎)」や「慢性疼痛で学ぶチーム医療(実践)」のベースになる科目でもある。
2年次 慢性疼痛で学ぶチーム医療(実践)
2年生選択科目
ワークショップ型の集中授業(夏休み3日間)三重大学医学部医学科?看護学科と本学各学科学生とが合同で実施。
「医療人底力実践Ⅰ(学科プログラム)」(1年生必修科目?自職種理解)や並行して行われる「多職種連携の基礎」(2年生必修科目?多職種理解)をベースとしている。「慢性疼痛で学ぶチーム医療(基礎)」(1年生選択科目)の応用編としての科目であり、この1年次の基礎を履修していることが望ましい。痛み医療に関わるメディカル?スタッフ養成のための「慢性疼痛医療者養成プログラム」(文科省)に基づき、三重大学と本学の様々な職種の教員が集まり、授業内容が企画された。痛みを訴え治療の難しい患者に対して、チーム医療をどのように展開するかという課題に両大学の学生がチームを編成して共同で取り組むワークショップ型の集中授業である。
この授業では、チーム活動自体の在り方、運営の仕方、体感型アクティビティやグループ?ディスカッションを通じて、「チームとは何か?」を考え、チームがどうすればうまく機能するかを学ぶ。チーム医療?多職種連携のベースとなる基本的手法である。慢性疼痛では様々な職種が関わることで効果的な治療ができるケースが多い。医学、看護学、薬学、理学療法学、栄養学、東洋医学(鍼灸)、医療福祉などの専門がどう対処するかといった理念や手法などについて講義を交え最新の治療方策が学べるようになっている。
最終日には、慢性疼痛患者の模擬事例にチームで取り組み、支援策の提案を行う。心理的?社会的困難を伴うやや複雑な課題について、グループ討議に加え、状況?情報の聞き取り、ロールプレイを行い、臨床現場の実際を体感できる機会となっている。こうした体験型ワークショップを通じて、チームの協働とそのことの意味を学ぶことができる。
3年次 事例で学ぶ多職種連携
3年生選択科目
学内での3日間の集中授業。多くの学科の学生参加が可能な3月に行われる。
学科横断の学内各専門の学生とチームを組んで、模擬事例の課題に取り組む。模擬患者さんを交えて模擬カンファレンスを実施し、ケアプランを策定する。その結果をチームごとにまとめ最終日には発表する。実際の医療現場でのチーム医療を演習として机上で再現し、チーム医療の実際を経験する。こうした演習を通して、自職種の役割を理解して各自の専門性を高め、他職種の理解を通して視界を深める。底力教育科目の「底力実践Ⅰ(学科プログラム)」や「多職種連携の基礎」、および2?3年生の各学科関連科目や実習などで学んで得た知識と技能を活用しながら、多職種によって課題を解決していく過程を学び、多職種連携(チーム医療)の技術やその意義?必要性を習得するとともに、多職種が連携に取り組む姿勢を学ぶ。この授業科目は4年生科目「実践で学ぶ多職種連携」の前哨戦ともいえる位置づけである。
4年次 実践で学ぶ多職種連携
4年生選択科目
医療機関や福祉施設での3日間の集中授業。夏休み中に行われる。
1年生の「底力実践Ⅰ(学科プログラム)」、2年生の「多職種連携の基礎」、3年生の「事例で学ぶ多職種連携」や「慢性疼痛で学ぶチーム医療」(基礎)と(実践)の科目など、多職種連携?チーム医療教育の総仕上げと位置づけられる科目である。特にこの科目は3年次科目「事例で学ぶ多職種連携」を医療?福祉の現場における実習へと展開し、さらに深化させるものである。学生たちは、複数専門学科で構成したグループ(4-5名)で、実際の医療現場(医療機関や福祉施設、地域包括ケアセンターなど)に赴き、現場医療スタッフの指導を受けながら、チーム医療?多職種連携を学ぶ。
チームにより異なった内容の実習になるが、実際に入院患者を担当して情報収集?課題抽出?ケアプランを検討する、在宅医療現場に同行しケアの実践を体験する、あるいは専門職業務見学や実際のカンファレンス(医療スタッフの会議)に参加するなど現場での医療を体験し、その実際を学ぶ。最後に全体の報告会が全チーム参加の下で行われ、それぞれの実習内容や学んだことを発表する。実習先のスタッフの講評もいただく。
現場での実習を通して、各自の専門性を高め多職種連携の視点を獲得しながら、情報を共有し、協力して課題に取り組む過程を学ぶ。多職種連携(チーム医療)の意識や必要性、連携方法等の技術を習得する。